遺言者様はいつでも自由に遺言を撤回することができます。
遺言者様の最後のお気持ちを尊重することが遺言制度の目的だからです。
撤回してその遺言をなかったことにすることもできますし、全部撤回して新たに遺言することもできます。
また、遺言が全部で5条あった場合に、1条だけ変更して、それ以外は変更しないこともできます。
ただし、一部変更の場合は、変更前の内容が変更後の遺言に記載されるので、その変更によって無用の争いが起きないように、初めて遺言するような形式にされることをおススメします。
【よくありがちな思い込み】
遺言者の中には、遺言書を作成すると、その内容に縛られて、その遺言と矛盾する財産処分はできなくなってしまうと危惧される方がいらっしゃいます。
しかし、遺言者がご自身の財産をどのように処分しようと、それは遺言者の自由です。
ご自身の財産を処分して遺言内容と抵触すれば、抵触する遺言が撤回されて、その遺言内容が実行できなくなるだけです。
例えば、遺言者様が、「ご自宅を配偶者様に相続させる。」という遺言をされたとしても、遺言者様がご自宅を売却できます。
この場合、ご自宅を配偶者様の相続させるという遺言が撤回されたことになります。
【遺言書が複数あった場合】
遺言書が複数あった場合、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
抵触する部分がなければ、その部分は有効です。
例えば、複数の遺言があったとしても、それぞれ別の事項について遺言しており、相互に抵触していなければ全ての遺言は有効です。
尚、前後の遺言が抵触するかどうかは、公正証書遺言、自筆証書遺言等の遺言の形式にかかわりません。